ガレージキット初級編:筆塗り簡単仕上げ

入門編ではなるべく身の回りにあるもので作ってみましたが、今回は初級編ということで、模型用の道具も使いつつ筆塗り塗装までやっていきます。どこまで取り入れるかは臨機応変で。

有機溶剤の臭いが苦手な方にも気軽に作ってもらえるよう水性塗料で紹介していますが、塗料はなんでもお好きなもので。

【(入門編にプラスして)用意するもの】 
これだけは用意:
プライマー、アクリル絵の具など水性塗料、絵筆数本、パレット(クッキングシートでOK)
あるとより本格的だし便利:
ニッパー(プラモ用などの丈夫なもの)、デザインナイフ、瞬間カラーパテ、硬化促進剤、ピンバイス、アルミ線、金属線用ニッパー、塗装持ち手(クリップと割り箸でOK)、塗装ベース(猫の爪とぎやペン立てでOK)、スミ入れ塗料

【手順】
◆下処理
バリ取り:
大きめのゲートはニッパーで、残ったバリはデザインナイフで取り除いていきます。
段差やナイフのあとは400~600番程度の紙やすりで目立たなくなるまでやすっていきます。紙やすりは小さく畳んだり切ったりして厚みや形を変えればあらゆるところに対応できます。あわせ目の筋になっているところは、ナイフを斜めに立ててカリカリと削るのも有効です。 (自分はセラカンナというカンナ掛け専用ツールを愛用していますが、プラモデルも作る方なら合わせ目消しで大活躍するのでお勧めです。)

気泡埋め:
ガレージキットには気泡がある場合があります。大きな気泡は瞬間接着剤やパテで埋めます。
一般的な白やアイボリーのレジンキットには、ガイアノーツの瞬間カラーパテ白がおすすめです。要はあらかじめ色がつけてある接着剤なのですが、パテのように盛り付けて形を作ることができます。小さな穴や隙間を埋めるのにぴったりで、隙間を埋めつつ同時に接着することもできます。
硬化に時間がかかるので、硬化促進剤をあらかじめ塗るか、盛り付けたあとにスプレーします。いっぺんに厚く盛らず、薄く盛り付けて硬化を繰り返し、多めに盛ってから削って整えます。

表面仕上げ:
塗料の食いつきをよくするためと表面を均一にするため、800番程度のスポンジやすりで全体を磨いて仕上げていきます。つるつるだと塗料が乗らないため、表面をマットな状態にするのです。ディテールが消えてしまうのが心配なら、メラミンスポンジで全体をこするだけでもツヤは消えます。
接着面は200〜400番程度のやすりやナイフで傷をつけて荒らしておいたほうが強く接着できます。

◆軸打ち
パーツとパーツを組む際に、ダボだけでは強度が不十分だったり、ダボがなくて固定できない場合があります。
ピンバイスで穴を開け、アルミ線を入れることでしっかりと保持できるようになります。
強度だけなら強力な接着剤を使ってもよいですが、軸打ちには他にも、位置合わせをきっちりする、仮組みしやすくなる、塗装の際に持つところができて便利、などメリットがたくさんあります。
パーツのサイズにもよりますが、1mm径と2mm径の2種類くらいあるといろいろ対応できます。余裕があればその間の1.5mmも。
金属線を切る時は金属線用のニッパーを使いましょう。

だいたいはダボの真ん中に軸打ちをすればOKです。ここでは接着面が広いので、ダボの隣に2mm径の軸打ちをして、ダボと軸の2箇所で固定する感じでやっています。
片方にピンバイスで深さ3〜5mmほどの穴をあけます(パーツが大きければもっと深くても)。ここに同じ太さのアルミ線を差し込むのですが、反対側と穴を合わせるのがなかなか難しいです。
四角いダボなら角を対角線で結ぶと中心が決まります。うまく合わなくても、穴を広げて接着剤をつめてやればいいだけです。慎重に、でも思い切って開けましょう。
(ピンバイスを多種用意できる方はこちらの方法もおすすめです。 http://www.g-modeling.info/shaft

片方の穴に、先端に接着剤をつけたアルミ線を差し込みます。長く残しておけば持ち手として便利ですが、仮組みするには穴の深さに合わせてカットする必要があります。

台座と接続する軸もここで打ってしまいます。まずかかとの位置を確認して印をつけ(つま先だと甲に貫通してしまうので)、台座の裏側まで穴をあけます。足と台座を合わせて、今度は台座の裏からかかとに貫通させて穴を開けます。足に少し印がついたら、台座を外して足に直接穴を開ければよいです。足を割ってしまわないよう慎重に。
ちゃんと台座に立つようバランスを確認しながら、かかと側にアルミ線を差し込んで接着しておきます。多少斜めになってしまっても、アルミ線なら曲げて調整できます。

◆仮組み(入門編参照)
仮組みして全体を確認します。軸打ちしてあると複雑なキットも仮組みしやすいです。
小さい隙間で先に接着しても問題ない場所なら、瞬間カラーパテで埋めつつ接着してヤスリがけしてしまえばわからなくなります。
(パーツに大きな隙間がある場合や塗装の関係で接着できない場合は、パテで盛ったりして整形する必要がありますが、中級の内容としてここでは扱いません。)
薄いパーツや長いパーツがゆがんでいてうまく合わない場合は、お湯につけると元に戻ります。ドライヤーを少し離れたところからあてて温めて、手で矯正してもよいです。火傷には注意。

◆洗浄
パーツを洗浄し、手の油や離型剤、削りカスを落とします。台所洗剤を溶かした水にしばらくつけ、細かいところは古い歯ブラシなどで落とします。パーツを一番最初に洗う、というやり方を紹介しているものも多いですが、どっちみちここまでで粉だらけになりますので、自分は塗装の直前に行なっています。接着もできるものは先にしてしまったほうが、なくさないのでよいと思います。
水気をとってしっかり乾かします。奥まったところは綿棒などで吸い取っておくと早く乾きます。

◆プライマー
塗料の食いつきを良くする下地を塗ります。メタルプライマーやマルチプライマーという名前で売られています。
スプレーのものが簡単ですが、スプレーする環境がなければ、筆塗りタイプのものもあります。筆跡が残りますので、塗装も筆塗りのときに向いています。

塗装用の持ち手でダボや軸をしっかり固定して持ちます。大きくて挟めないものは両面テープを貼った太い棒の先端などに貼り付けます。固定できて塗装しやすければなんでも良いです。プライマーを薄く塗ったら、どこかに触れてしまわないよう塗装ベースなどに立てて1時間ほどしっかり乾かします。(写真は猫の爪とぎボードの片面にガムテを貼って底を塞いだものです。模型用のものとそっくりで安くすみます。)
表面が少しベタつく感じがしますが、これが塗料の食いつきを良くしてくれます。ほこりもつきやすくなっていますので注意しましょう。

下地をしっかり荒してあればプライマーは省いてもまぁなんとかなりますが、せっかくの塗装がはげてしまっては悲しいので、保険だと思って塗っておきましょう。

◆塗装
ここまで下地をつくれば、あとはどんな塗料でも好きに塗ってOKです。
サーフェイサーを吹いてさらに表面をなめらかに仕上げたり、カラースプレーやエアブラシで均一に仕上げても良いですが、
ここではあまり道具や環境が整っていない初級という前提で、アクリル絵の具を選択します。

アクリル絵の具は画材屋で手に入りますし、チューブ入りで使い方も馴染みがあると思います。100均でも手に入るらしいです。
水彩絵の具と違うのは、隠蔽力が高く、乾くと塗膜が強くなって耐水性に変化する点です。
自分が愛用しているのはリキテックス。一色200円くらいでしょうか。水彩絵の具と同じようにパレット上で色をつくります。
クッキングシートを紙パレットがわりにしてもOK。終わったら丸めて捨てればいいので楽です。(写真はクッキングシートですらなく、シャツを洗濯に出すと間にはさまっているつるつるの紙です。)
筆を水で湿らせながら色を塗っていきます。一回で塗ろうとせず、筆を一方向に動かして薄く色をのせます。ムラになりますが気にしない。しっかり乾いてから方向を変えて色を重ねていきます。はじめに横に塗ったら次は縦というように。絵を描くように形に沿って塗ってあえて筆跡を残すのもいい感じです。色にもよりますが、2、3回重ねれば下地が隠れ、ムラもなくなってくるはずです。
はみ出しても気にしない。また上に重ねて塗ればいいです。
細かいところは面相筆や、楊枝の先で。自分は小さいフィギュアなら面相筆一本で、毛先を拭いて色を変えながら塗ってしまうこともあります。
この段階では、なんだかぼんやりのっぺりしていて心配ですが、我慢して一晩しっかり乾燥させます。

◆スミ入れ
スミ入れをして輪郭や陰影を強調します。キャラクターや作風によっては入れないほうがいい場合もありますのでお好みで。
入門編でも使用したガンダムリアルタッチマーカーなら塗装の上に重ねてもOKですが、ぼかしペンで強くこすると塗装がはげる場合もありますので、やさしく行いましょう(はげても塗り足せばいいので大丈夫)。陰影がはっきりして一気に引き締まり、全体に統一感も出ます。
今回のようなファンタジー系フィギュアでは、ウォッシングやシェイド、フィルタリングなどと呼ばれる、希釈したブラウン系の塗料を全体にかけて味付けするのもおすすめです。

つや消しなどのトップコートで保護します。

◆組み立て
最後にパーツを接着して組み立てて完成です!
軸打ちしてあれば接着剤はシアノアクリレート系で問題ないですが、重いパーツや軸打ちしない場合など、もっと強力に接着したい場合は、2液混合でゆっくり硬化するエポキシ系の接着剤が安心です。

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模型専用でない絵の具でも塗装はできるということがお分かりいただけたでしょうか。
美少女の肌や新品のメカのような表現は筆ではなかなか難しいですが(できなくはないです)、気軽にはじめられ、極めれば奥が深い筆塗り塗装は、非常におすすめの技法です。

ガレージキットの作り方に正解はなく、調べればいくらでも詳しいやり方が見つかります。
簡単に作ることもできるし、こだわればいくらでも手をかけられます。
今の環境にあったやり方や道具で、失敗をおそれず手を動かしてみましょう。(もし失敗しても、上手くなったらあとで直せるようになります)

自分もまだまだ初級なので、紹介できるのはここまでです。
さらに詳しく知りたい、初級から中級へステップアップしたい方には、藤田茂敏『フィギュアの教科書 レジンキット&塗装入門編』がおすすめです。
入門から中級まで対応した内容や道具の使い方が詳しく載っています。自分も何度も読み返しています。


(※この写真の作例も筆塗りですが、このページの手順よりもう少し手間と模型用の道具が使われています)

>>ガレージキット入門編:スミ入れ簡単仕上げ