[movie]アーカイブ


折口信夫の美しい幻想文学『死者の書』を、
あの人形劇三国志の川本喜八郎が人形アニメーションに!

これだけでもすごそうですが、ナレーションに岸田今日子(ムーミンパペットアニメ ナレーション)、主役の郎女(いらつめ)に宮沢りえ(Yonda?パペットアニメ ナレーション)と、パペットアニメ界ではおなじみ?のお二人をはじめ、観世銕之丞、黒柳徹子、榎木孝明、江守徹、三谷昇というそうそうたる声優陣。

物語の下敷きとなっているのは、奈良の當麻寺に伝わる中将姫伝説。

當麻寺というのがまた、かなりのいわくつきで。。
當麻曼荼羅という見事な織物が伝わっているのですが、阿弥陀浄土図なので浄土宗のお寺かと思いきや、空海が参籠したこともあり、真言宗との兼宗(そんなことも可能なんですね)で、むしろ密教法要が中心だとか。
そして當麻曼荼羅は、曼荼羅のように見える浄土図、と見えてやっぱり曼荼羅の本質をも備えているのです。

伝説によれば、阿弥陀仏に会いたいと願った中将姫の元に表れた化尼が、蓮の茎からとった繊維で阿弥陀浄土図を織り上げ、中将姫に絵解きしてみせたのだと言います。

仏教図像研究者としては、パワポならぬ曼荼羅の前でプレゼンする化尼の姿は憧れです。
當麻寺では今も独特な節回しによる曼荼羅絵解きが行われているとのこと。

毎年5月の中将姫縁日に行われている練供養というのがまた異様で、仏様のお面をかぶった演者たちが、中将姫の成仏の場面を再現するというもの。
今年は5月14日に行われるようなので、ぜひ行ってみたいと思っています。

さびしがりやのクニット
トーヴェ・ヤンソンのムーミン絵本『さびしがりやのクニット』をそのまま映像化した幻の名作アニメ。
トーヴェ・ヤンソンの絵にのせて、英語による歌でストーリーが語られる美しい作品です。

恥ずかしがりやで独りぼっちだったトロールの少年クニットが、家を飛び出し、偶然ひろったスクルットからの手紙を読んで、勇気を出して彼女を助けに行くというお話。
ムーミン一家はでてこないのですが、ヘムレンやフィリフヨンカなどおなじみのムーミン谷のキャラクターが登場。あいかわらず能天気で脈絡のない行動が、悩めるクニットと好対照です。
ちょっとの勇気と行動で、人生は変わる。
切なくて可愛くて、最後には幸せな気持ちになれる愛すべき小品です。

アニメ「さびしがりやのクニット」はDVD『ムーミン それからどうなるの?』に収録されています。
タイトルになっているもう一本の「それからどうなるの?」は、ママのためにおつかいに出たムーミンが、ミイのせいで理不尽な冒険に巻き込まれる、原作ムーミンらしいシュールな展開のゆるいお話。

DVDの吹き替え音声は例によって岸田今日子さんの味のあるナレーションなのですが、「それからどうなるの?」のオリジナル音声はなんとトーヴェ・ヤンソン本人のスウェーデン語!!
ムーミン パペット・アニメーション』(全編岸田今日子)もスウェーデン語入ってたらよかったのになぁ。。とつくづく思うのでした。



090122_dogen.gif道元禅師の生涯を描いた映画『禅 ZEN』を見てきました。
禅宗にはあまり詳しくなくて、坐禅をしたこともありませんが。。
禅は西洋でも"Zen"としてライフスタイルやデザイン様式の一つのように受け入れられています。
只管打坐。ただひたすら座る。このシンプルさが、いいんでしょうね。

この映画には、恋をしてしまうお坊さんがでてきます。
道元を尊敬する若きイケメン坊主俊了と、やはり道元に救われて仏門を目指す元遊女のおりん。
この二人のエピソードは全くのフィクションなんですが。。淡々とした道元の生涯に対して、揺れる一般人を代表するドラマチックな役回りとなっています。

おりんに欲情を感じ、道元に「色欲の鬼が棲みついてしまいました」と告白して寺を去る俊了。
お坊さんだって人間。異性との交流に心ときめくことぐらいあるだろうに。。まぁ、いきなり襲いかかったのはマズいけど。真面目すぎて抑圧が大きかったようで、なんだかかわいそうです。それに対して、人生の修羅場を経験してきたおりんの方が冷静で、愛が大きかった。

現代のお坊さんは普通に恋愛もするし結婚もする。
釈尊は在家の信者を認めていたのだから、仏教徒は恋愛禁止というわけじゃない。
禁止したら、誰もついてこないでしょうね。。
というぐらい人間にとって精神の糧となる恋愛ですが、もちろん修行僧がこれにうつつを抜かせば堕落にもつながりやすい。純粋に相手を想っていたはずが、いつのまにか執着している。執着すれば欲になる。

道元さんとはあんまり関係ないですが。。
お坊さんと恋の問題。興味深いです。

060908_tidelandテリー・ギリアムの「ローズ・イン・タイドランド(TIDELAND)」@恵比寿ガーデンシネマ
これは少女ジェライザ=ローズの、シュールで悲しくもおかしい、ブラックアリス・イン・ワンダーランドなのです。。。

舞台はアンドリュー・ワイエスの絵画をイメージしたという黄金色の草原と、クセのある住人たち。フィリップ・リドリーの「柔らかい殻(The Reflecting Skin)」と奇妙に重なる世界。
純粋すぎて残酷な子供。思い出にすがる吸血女。秘密の児童性愛。父親の死。。
閉ざされた世界で、事件はおとぎ話になる。

少女の妄想で反転する世界。
美しくて醜い。優しくて残酷。目をそむけたいのに惹きつけられる。
乾いた草むらは一瞬にして深い海の底となり、腐り始めたパパの死体は美人のミス・アメリカだ。
外から見ているほうは、次々と姿を変えてみせる世界についてゆけず、めまいを起こす。
みんな狂ってる。でも、ほんとはいっしょけんめい生きてるだけ。

大人の良識にてらせば、それは不安で、吐き気を催すような光景だ。
でも、ローズはあんなに嬉しそうじゃないか?どうして?何が本当の幸せなの??
自分が確かだと思っていた世界はぐらつき、私たちもウサギの穴に落ちてゆく。

けれど、ローズが時おり見せる、全てを知っているかのような大人びた表情。
この子は、私たちがかつて少しはそうであったように、ただ過剰に夢見がちな妄想少女?
それとも、過酷な現実を生きのびるために、妄想で身を守ることを覚えた寂しい少女なのか。

すべてが善であり悪である。すべてが悪であり善でありうる。
世界を変えるには、ただちょっと視点を動かせばいい。


東京での上映は今日が最後ですが、これから見る方にひとつご注意を。
大人の目線で見ないこと。
でも、"あの頃"の目線で見れば、そこは、ワンダーランド。

050706_travel最近また、よく映画を見るようになりました。目の前にTSUTAYAができたので、仕事帰りに当日返却で安く借りてくるのです。休日には映画館にも足を運びます。

どんな映画でも、だいたい2時間前後。1日を過ごすには短いけれど、ちょっとしたあき時間を使うには長い。でも、部屋でぼんやりテレビを見ていれば、2時間なんてあっというま。長いようで短い。でもやっぱり短いようで長いのは、その2時間はとっても濃密だから。

映画を見終わった後は、ちょっと疲れます。2時間の間、別世界にトリップしてきたんですからね。いろいろなことを考えさせられるし、いい場面も悪い場面も何度も思い返します。

2時間の旅で得られるのは、ストーリーの面白さやメッセージの大切さだけじゃありません。外国の映画を見れば言葉を覚える。かわいいヒロインのファッションならお手本にしたくなる。一生行かれないような国の生活を知ることもできるし、一生出会えないような出来事も追体験できる。2泊3日の海外旅行に行ったぐらいの衝撃は受けられるでしょ?タイムスリップだってできるんだから。。

DVDを借りてくれば、たった数百円で他人の人生をつまみ食いできる。映画って、なんてお得な娯楽なんでしょう!!

本が大好きだった子供の頃、こんな風に思っていました。"何人もの他人の人生を体験できるなんて、本ってなんて便利なんだろう!"

大人になって、本を読むことも少なくなってしまったけれど、そのかわり本当に外国にも行ったし、いろいろな人にも出会いました。

明日は、宇宙へいってこようと思います。
2時間でね。


熊谷 惠雲 (vivian)
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