稀代の生(いき)人形師、松本喜三郎。
4年前に大阪で行われた「生人形と松本喜三郎」展の図録を入手しました。
喜三郎は文政8年(1825年)熊本生まれ。まるで生きているかのようなリアリティのある人形を作り、物語仕立てで見せ物として興行してまわる人形師でした。
その最高傑作はなんといってもこの谷汲観音像。
この仕草。この顔。。あらわな白い肌。。
見せ物であるのに、仏像である。
なんとも艶かしい観音様です。当時の見物人は度肝を抜かれたんではないでしょうか。
『エヴァンゲリオン・スタイル』の中で綾波フィギュアと比較して引き合いに出されていましたが(p.134)、確かに、マニアックな執念さえ感じるこのエロさと造形美は、フィギュアの存在意義に通じる物がなくもないですね。
谷汲観音は、明治4年(1871年)から行われた興行「西国三十三ヶ所観音霊験記」の第三十三場面「美濃国谷汲寺縁起」に登場していました。その準備に10年の歳月をかけ、人形は70体以上あったといいますが、現在残っているのはたったの2体。
このレベルの作品が他にもたくさんあったのだろうと思うと、失われてしまったのが惜しい。。人魚なども登場していたといいます。
安政元年(1854年)の興行「異国人物生人形」では、中国の妖怪図鑑『山海経』の影響をうけたとおぼしき異形の人々が登場していたようです。
谷汲観音様は、現在は松本家の菩提寺である熊本県の浄国寺にいらっしゃいます。
いつか訪ねて、会ってみたいものです。



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