ヴェーダ文献の研究で著名な辻直四郎氏のウパニシャッド概説。ウパニシャッドの成り立ちと特色を、分かりやすく流麗な文体で解き明かしています。多くを原典に語らせ、中立的立場をとりながらも学者としての確かな意見を述べる手法は、先のJ.ゴンダ氏の『インド思想史』にも通じる信頼感をあたえます。
ウパニシャッドは紀元前約600~300年という長い間に個々に成立してきたため、全体としての一貫性に欠けるとしながらも、その教義の中で「大宇宙の本源を尋ねて到達したブラフマンすなわち梵(brahman)と、個人の本体として識得されたアートマンすなわち我(atman)とを最も重要な概念」と認め、「一元的世界観」を特徴とするウパニシャッド哲学の核心を簡潔に言い表しています(p.41)。
巻末にウパニシャッドの中でも最古層のブリハッド・アーラニヤカ、チャーンドーギヤ、カウシータキの抄訳がついており、つまみ食い的に雰囲気を味わうことができます。




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