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The Da Vinci Code以前「アンビエント・ファインダビリティ」の記事で、Peter Morville氏が楽しんだナショナル・ジオグラフィック社の提供するアフリカ・サファリツアーをちらっと紹介しましたね。
GoogleEarth上にナショナル・ジオグラフィック誌の記事と連動する位置情報をマークしたデータで、あなたのパソコン上のGoogleEarthにもすでに入っているはず。メニューから選ぶだけで、誰でもすぐにバーチャルツアーに旅立つことができます。

GoogleEarthには他にもさまざまなツアーがあり、権威あるものからユーザーが趣味で作ったものまで種々雑多、興味があるものを片っ端からダウンロードしていると、あちこち出掛けたくなってしまいます(バーチャルでもリアルでも)。

そんな中で見つけたのが、ダ・ヴィンチ・コード・ツアー
Da Vinci Tour : All places of Da Vinci Code

映画は見ていませんが、本は日本語訳を読んだことがあったので、せっかくだから原書"The Da Vinci Code"を読みすすめながらツアーしてみようと思います。

上記サイトにはGoogle Maps上にツアーを表示したマッシュアップも掲載されていますが、やはりGoogle Earthで見たほうが臨場感があります。ルーブル美術館やエッフェル塔は美しい3Dになっていますので、上から見たり横からみたりして、ラングドンの通った道を想像したり、ソフィーがトイレの窓から見た景色を確認したりしてみます。
サン・シュルピス教会の上には誰かが撮ったローズラインの写真もマッピングされていますので、ほんとにオベリスクの真ん中に子午線引いてあるんだなぁと、小説が多くの事実に基づいていることを確認。

今回は母国語でない言語で読んでいるにもかかわらず、ただ文字を追っていただけのときよりはるかに状況が想像しやすく、内容も頭に残りやすくなります。

でも、当初はかたわらに15インチのMacBookを置き、ときおり地図を眺めながら読書をすすめる。。というだけのつもりが、結局いそがしく本とパソコンを行き来することになり、Google Earthの情報だけでは足りず、Googleの検索ボックスにたくさんの文字を打ち込み、ルーブルのホームページから館内マップを探し、聞きなれない宗教用語を調べ。。

The Da Vinci Code: Special Illustratedこれでは知識は増えるかもしれませんが、のんびり読書とはいきません。
しかも、今はThe Da Vinci Code: Special Illustratedという、地図や画像満載のすばらしいバージョンが出ていることを知り、悔しく思うことしきり(>ω<)。

もっとスムーズに、流れを止めることなく情報を得ることはできないものか。。

たとえば、テキストが全部Web上に載っていて、気になる単語をポイントすれば、意味・映像・音声・位置・歴史などあらゆる情報を瞬時に表示できる。。
いや、それはただ現状はテキストを掲載できない(著作権上)というだけで、技術的には全く可能だし、半分以上はすでにGoogleが実現していると言えます。それに、長い読書を楽しむには、やはりまだ液晶画面は紙には勝てません。

たとえば、ヘッドマウントディスプレイで、本を読みながら情報を紙面上にオーバーレイする。。
いやいや、ヘッドマウントなんて鬱陶しくて読書に集中できない。いっそ脳に直接情報を。。

パソコンとインターネットがなかった時代を考えれば、想像もできなかったほどの手軽さで、瞬間的に、シームレスに、大量の情報を得ることができるようになりました。
それでも、わがままな我々はデバイスのスペックにもサービスの内容にもまだまだ満足できないでいます。我らがしもべサーチエンジンが、命令したものを持ち帰らなかったときは、怒りすら覚えます。

ダ・ヴィンチ・コードの登場人物たちが頭脳と体を使って追い求めたような、深い、魂を揺さぶるような秘密の情報は(真偽は別として)どこへ行ってしまったんでしょうか??
我々は容易に大量の情報を得られるようになった代わりに、薄っぺらな、誰でも知っている情報しか手に入れられなくなったような気がしています。というより、情報は変わらずそこにあるのに、探すことを放棄してしまっているのかもしれません。
インターネット上には、インターネット上にある情報しかないのです。あたりまえですが。

Googleのおかげで、部屋にいながらにして、パリの市内を手にとるように眺め、想像で補うしかなかった文字情報にはっきりとしたイメージを与えることができるようになりました。
でもやっぱり、お気に入りの本を一冊持って、現実世界の舞台をめぐる旅ができたら、こんなにおもしろいことはないでしょうね。

そう考えると私は、韓国語を覚えてドラマの舞台をめぐる母親と同世代の女性達に、好奇心と情熱と行動力で完全に負けているなぁと、わが身を反省するのでした。

アンビエント・ファインダビリティ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅
ピーター モービル Peter Morville 浅野 紀予
オライリージャパン (2006/04)
売り上げランキング: 6530

かの有名な、Webサイト設計者達のバイブル『Web情報アーキテクチャ―最適なサイト構築のための論理的アプローチ』の共著者、Peter Morville 氏 のオライリー最新刊、『アンビエント・ファインダビリティ』を読んでみました。

よくあるユーザビリティの本かと思いきや、経路探索の歴史を文化史的、行動心理学的視点で紐解きながら、今後の情報のあり方に思いをめぐらせるという、ちょっと学術的内容の、読み応えのある本です。

最近のWebサービスの事例とURLが載っていたり、画像や情報の出典がWikiだったりと、著者とともに最新の潮流に身を投じながら読んでいく楽しみがあります。逆に言えば、そばにインターネットがないともどかしい思いをするかもしれません。

いくつかキーワードを挙げてみましょう。
ロングテールフォークソノミーセマンティックウェブユビキタス。。
GoogleAmazonFlickrセカンドライフ。。
ひとつでも、興味のあるものがあったでしょうか?

Webに関する書籍の致命的な欠点として、出版時にはすでに流行おくれ、という問題がありますよね。現時点で原書出版から1年半、邦訳出版から1年。すでにセカンドライフは載っていますが、Google Earthは登場していません。

それでも、示唆に富んだこの本の価値は、読む者に新しい視点を与えてくれる、というところにあるので、すぐにビジネスに役立てようと考える向きにはどうかわかりませんが、情報のあるべき姿を求めているなら、指針を得られるでしょう。

とはいっても、Morville氏のGoogle Earthについての意見を知りたかったな。。と思ったら、ご本人のブログの中に一件だけエントリーがありました。
findability.org: Google Earth on Safari
短いので簡単に訳出しておきます。

サファリのGoogle Earth
Google Earthは、その複雑にリンクした経路探索と検索の機能で、我々が現実世界を探検し、航海し、学ぶことを可能にし、アンビエント・ファインダビリティの"今ここにある未来"を示している。 ナショナル・ジオグラフィックの提供するアフリカのジオコーディング(訳注:2005年5月19日に発表された、アフリカに関する記事を位置情報と結びつけたGoogleEarth向けのデータ)は、物事がどこへ向かっているかについて、さらなるヒントをくれる。

今朝の5分間のサファリ探検で、私はマダガスカルにズームインし、サンコウチョウに関する記事をひろい読みし、気がつくと、ベレンティ・プライベート保護区で、ベローシファカのアクロバティックな動きや凄まじい叫び声を楽しんでいた。ベローシファカは私の最新の著作の表紙にも載っている、キツネザルの希少な一種だ。
2005年9月26日 findability.org

Morville氏の文章は一つ一つの言葉にいくつもの背景を含んでいて、原文のイメージをそのまま日本語で表現するのが難しいんです。。

ちなみに「複雑にリンク」としたところは原文では「intertwingling」と表現していますが、これはハイパーテキストの生みの親、テッド・ネルソン氏の造語「Intertwingularity」からきていて、知識の複雑に関連しあった状態を指します。Wikiユーザー等が好んで使うそうですが、Wikipedia はまさにこの状態ですね。
「今ここにある未来(future present)」というのも、Morville氏がよく使っている言葉です。

「探検し、航海し、」としたところは原文では「Explore, Navigate」ですが、かつて双璧をなしていた2つのブラウザを連想させますね。Morville氏は言葉遊びが好きなようなので、もしかしたらこれも彼のちょっとした遊び心なのかもしれません。

今後ブラウザは今のような形ではなく、もっと意識せずに使える、まさにアンビエントなものになっていくだろうと予想されています。階層構造の神話はすでに崩れはじめています。私たちは、原初の生命のスープのような情報の海から、タグと検索で何かをとりだそうとしています。
必要なものを得るには、キーワードを正しく唱えられなくてはなりません。
しかもこの海ではどんな情報も貴賎なく浮かんでいて、結局は経験や権威につき合わせてどれを信用するかは自分次第なのです。

そんなあふれる情報の中で迷ってしまったなら、階層構造と順序を持った、このずっしりと質量のある書籍を、ぜひ手にとっていただきたい。情報とは何かを、もう一度考えさせてくれるはずです。

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